PFAS(ピーファス)とは、有機フッ素化合物の一群を指す総称です。PFASには非常に多くの種類があり、その中でもPFOS(ピーフォス)やPFOA(ピーフォア)は、環境中で分解されにくい性質などから国内外で対策が進められています。
飲み水についてPFASが気になる場合は、「PFASが少しでも含まれていれば直ちに健康被害が起こる」と考えるのではなく、どの物質がどの程度検出されているのか、公的な基準や評価と照らして確認することが大切です。
この記事では、PFASとは何か、PFOS・PFOAとの違い、飲み水から摂取する可能性、健康影響について現在分かっていることを整理します。あわせて、ウォーターサーバーを利用・検討するときに最低限確認したいポイントも解説します。
PFASとは有機フッ素化合物の総称
ここでは、PFASとは有機フッ素化合物の総称について簡単に確認します。
PFASについて理解するときに最初に押さえたいのは、「PFAS」という一つの物質が存在するわけではないという点です。PFASは多数の有機フッ素化合物をまとめた呼び方です。
PFASは多数の化学物質を含むグループ
ここでは、PFASは多数の化学物質を含むグループについて簡単に確認します。
PFASは「Per- and Polyfluoroalkyl Substances」の略称です。日本語では有機フッ素化合物と呼ばれ、フッ素を含む多数の化学物質が含まれます。
PFASに該当する物質数は定義によっても異なります。そのため、「PFAS」という言葉だけを見て、すべての物質が同じ性質や健康影響を持つと考えることはできません。
PFASは分解されにくい性質などを持つ
ここでは、PFASは分解されにくい性質などを持つについて簡単に確認します。
PFASの中には、熱や薬品などに強く、環境中で分解されにくい性質を持つものがあります。こうした特性から、過去には撥水・撥油など幅広い用途で利用されてきました。
一方で、難分解性や蓄積性などが問題となり、PFASの一部については製造・使用などへの規制が進められています。
PFOS・PFOAはPFASの一種
ここでは、PFOS・PFOAはPFASの一種について簡単に確認します。
飲み水に関するニュースや水質情報でよく見かける「PFOS」と「PFOA」は、どちらもPFASに含まれる物質です。
| 名称 | 位置づけ | 飲み水を見るときのポイント |
|---|---|---|
| PFAS | 多数の有機フッ素化合物の総称 | PFASという表記だけでは対象物質を特定できない |
| PFOS | PFASの一種 | 日本で飲み水に関する基準・評価の対象となっている代表的な物質 |
| PFOA | PFASの一種 | PFOSとともに飲み水で確認される代表的な物質 |
| PFHxS | PFASの一種 | 食品安全委員会の評価対象だが、現時点ではTDI算出に十分な知見がないとされる |
表の内容を比較しながら、PFOS・PFOAはPFASの一種が自分の使い方に合うか確認してみてください。
したがって、「PFAS検査済み」と書かれている場合でも、実際にどのPFASを検査したのか確認することが重要です。
PFASはなぜ飲み水で問題になるのか
ここでは、PFASはなぜ飲み水で問題になるのかについて簡単に確認します。
PFASへのばく露経路は飲み水だけではありません。しかし、環境中へ排出されたPFASが河川や地下水などから検出される場合があるため、水道水や飲料水に関する対策も進められています。
河川や地下水などから検出されることがある
ここでは、河川や地下水などから検出されることがあるについて簡単に確認します。
環境中へ排出されたPFASは分解されにくいものがあり、河川や地下水などから検出されることがあります。水道水は河川水や地下水などを水源として利用するため、飲み水の観点からもPFOS・PFOAへの対応が行われています。
ただし、地域や水源によって状況は異なります。「日本の水道水にはPFASが含まれている」「地下水なら必ず含まれている」と一律に判断することはできません。
飲み水はPFASを摂取する可能性がある経路の一つ
ここでは、飲み水はPFASを摂取する可能性がある経路の一つについて簡単に確認します。
PFASへのばく露経路には、飲料水だけでなく食品などもあります。食品安全委員会は、日本人のPFASへのばく露について、食事や飲料のほか複数の経路があると整理しています。
そのため、飲み水だけを完全に切り離して健康リスク全体を判断することはできません。飲料水中の濃度は、PFASへのばく露を考える際の一つの情報として確認する必要があります。
水道水ではPFOS・PFOAの合算値が基準となっている
ここでは、水道水ではPFOS・PFOAの合算値が基準となっているについて簡単に確認します。
日本ではPFOS・PFOAについて、水道水中の濃度を管理するための基準が設けられています。2026年4月からは、PFOSとPFOAの合算値で1Lあたり50ng以下という水質基準が適用されています。
「ng(ナノグラム)」は非常に小さな質量を表す単位で、1ngは10億分の1gです。検査結果を確認するときは、PFOSとPFOAが個別値なのか合算値なのか、単位がng/Lなのかまで確認しましょう。
PFASの健康影響はどこまで分かっている?
ここでは、この疑問について分かりやすく説明します。
PFASについては国内外で研究が続けられています。健康影響を考える際には、特定の研究結果だけで「危険」「安全」と断定するのではなく、公的機関によるリスク評価を確認することが重要です。
食品安全委員会はPFOS・PFOAの耐容一日摂取量を設定している
ここでは、食品安全委員会はPFOS・PFOAの耐容一日摂取量を設定しているについて簡単に確認します。
食品安全委員会は2024年にPFASの食品健康影響評価をまとめ、PFOSとPFOAについて、それぞれ耐容一日摂取量(TDI)を体重1kgあたり1日20ngと設定しました。
TDIとは、意図的に使用されていないにもかかわらず食品中に存在する物質について、一生涯にわたって摂取し続けても健康への影響がないと推定される1日あたりの摂取量です。
| 物質 | 食品安全委員会が設定したTDI |
|---|---|
| PFOS | 20ng/kg体重/日 |
| PFOA | 20ng/kg体重/日 |
| PFHxS | 十分な知見がなく、現時点ではTDIの算出は困難 |
表の内容を比較しながら、食品安全委員会はPFOS・PFOAの耐容一日摂取量を設定しているが自分の使い方に合うか確認してみてください。
動物試験では出生児への影響などをもとに評価されている
ここでは、動物試験では出生児への影響などをもとに評価されているについて簡単に確認します。
食品安全委員会によるPFOS・PFOAのTDIは、動物試験の結果をもとに設定されています。PFOSでは児動物の体重増加抑制、PFOAでは胎児の骨化への影響などがTDI算出の根拠となっています。
一方、ヒトを対象とした疫学研究では、血清ALT値、血清総コレステロール値、出生時体重、ワクチンに対する抗体応答などとの関連が報告されていますが、食品安全委員会は、現時点では指標値を算出するには情報が不十分と評価しています。
「関連が報告された」と「原因だと確定した」は同じではない
ここでは、「関連が報告された」と「原因だと確定した」は同じではないについて簡単に確認します。
健康情報を見る際に注意したいのが、疫学研究で「関連が報告された」という表現です。ある物質へのばく露量と健康状態に統計的な関係が見られても、それだけでPFASが直接の原因だと確定するわけではありません。
食品安全委員会も、PFASとの関連を否定できない影響がある一方、研究結果の一貫性や臨床的な意味、どの程度のばく露で影響が生じるかなどについて、知見が十分でない点があるとしています。
科学的知見は今後更新される可能性がある
ここでは、科学的知見は今後更新される可能性があるについて簡単に確認します。
PFASは現在も研究が進められている分野です。食品安全委員会も、今後新たな科学的知見が蓄積すれば、TDIを見直す根拠となる可能性があるとしています。
そのため、古い記事やSNSの断片的な情報だけではなく、食品安全委員会、環境省など公的機関が公開する最新情報を確認することが大切です。
基準値を超えた水を一度飲むと健康被害が起こるわけではない
ここでは、基準値を超えた水を一度飲むと健康被害が起こるわけではないについて簡単に確認します。
PFASの基準値を見ると、「少しでも超えた水を飲んだら危険なのでは」と不安になることがあります。しかし、基準値と急性の健康影響を同じものとして捉えないことが重要です。
基準値は長期的な摂取を考えて設定されている
ここでは、基準値は長期的な摂取を考えて設定されているについて簡単に確認します。
水道水のPFOS・PFOAに関する値は、長期的に飲用することを想定し、健康影響に関する評価を踏まえて設定されています。
そのため、基準値を一時的に超えた水を飲んだことだけで、直ちに健康被害が起きると判断するものではありません。反対に、基準値以下であればPFASが完全にゼロという意味でもありません。
TDIも「一日だけ超えたら健康被害が出る量」ではない
ここでは、TDIも「一日だけ超えたら健康被害が出る量」ではないについて簡単に確認します。
TDIは、生涯にわたり毎日摂取し続けても健康への影響がないと推定される量として設定される指標です。一日の摂取量がTDIを一度超えただけで、直ちに健康影響が起こるという意味ではありません。
PFASについて不安がある場合は、個々の数値を必要以上に恐れるのではなく、継続的なばく露を減らす観点で公的機関の情報を確認することが大切です。
ウォーターサーバーでは水のタイプごとに確認する情報が違う
ここでは、ウォーターサーバーでは水のタイプごとに確認する情報が違うについて簡単に確認します。
PFASを理由にウォーターサーバーを検討する場合、天然水、RO水、浄水型のどれを使うかによって確認すべき情報が異なります。ここでは基本的な考え方だけを整理します。
天然水はPFOS・PFOAの水質検査情報を確認する
ここでは、天然水はPFOS・PFOAの水質検査情報を確認するについて簡単に確認します。
宅配される天然水では、メーカーが公開している水質検査結果や品質管理情報を確認します。「天然水」という名称だけを理由に、PFASが含まれていないと判断することはできません。
PFOS・PFOAが検査対象になっているか、検査結果がどのように表示されているかを見ると判断材料になります。
RO水は処理方法と完成した水の検査情報を見る
ここでは、RO水は処理方法と完成した水の検査情報を見るについて簡単に確認します。
RO水は、RO膜(逆浸透膜)で処理された水です。PFASへの対応を考える場合も、「RO水」という名称だけで判断せず、メーカーが公開している製造方法や水質検査結果を確認しましょう。
天然水とRO水の違いそのものを詳しく比較したい場合は、「天然水とRO水はどっち?味・料金・安全性を徹底比較」を参考にしてください。
浄水型はフィルターのPFOS・PFOA除去性能を確認する
ここでは、浄水型はフィルターのPFOS・PFOA除去性能を確認するについて簡単に確認します。
浄水型ウォーターサーバーは、自宅の水道水をフィルターでろ過して使います。そのため、利用地域の水道水の状況に加えて、サーバーのフィルターがPFOS・PFOAを除去対象としているかを確認することが重要です。
具体的な除去方法やフィルターとRO膜の違いは、「PFASを除去できる浄水方法|フィルター・RO膜の違いを解説」で詳しく確認してください。
PFASが気になるときに確認したい4つのポイント
ここでは、PFASが気になるときに確認したい4つのポイントについて簡単に確認します。
PFASについて調べ始めると、さまざまな数値や広告表現が見つかります。ウォーターサーバーを利用する立場では、次の4点を確認すると情報を整理しやすくなります。
1.「PFAS」ではなく対象物質名を見る
ここでは、1.「PFAS」ではなく対象物質名を見るについて簡単に確認します。
- ここでは、1.「PFAS」ではなく対象物質名を見るについて簡単に確認します
- 【PFOS・PFOAなど具体的な名称を確認する】 PFASは多数の物質の総称です
- 「PFAS検査」と記載されていても、すべてのPFASを測定しているとは限りません
- PFOS、PFOAなど、具体的に何が検査対象なのかを確認しましょう
- 【ng/Lなどの単位まで確認する】 検査結果を確認するときは、数字だけでなく単位も見ます
- 「不検出」と表示されている場合は
- 可能であれば検出下限・定量下限なども確認すると
上記の項目を確認しながら、自分の利用条件に合うかを判断すると整理しやすくなります。
【PFOS・PFOAなど具体的な名称を確認する】
PFASは多数の物質の総称です。「PFAS検査」と記載されていても、すべてのPFASを測定しているとは限りません。PFOS、PFOAなど、具体的に何が検査対象なのかを確認しましょう。
2. 数値と単位を見る
【ng/Lなどの単位まで確認する】
検査結果を確認するときは、数字だけでなく単位も見ます。「不検出」と表示されている場合は、可能であれば検出下限・定量下限なども確認すると、結果の意味を理解しやすくなります。
3. 情報源と更新時期を見る
【公的機関・メーカーの最新情報を優先する】
PFASに関する制度や科学的評価は更新される可能性があります。古い記事だけで判断せず、公的機関やメーカーが公開する現在の情報を確認してください。
4. ウォーターサーバーの種類に合った情報を見る
【宅配水と浄水型を同じ基準で見ない】
天然水・RO水などの宅配水では完成した水の検査情報が重要です。一方、浄水型では原水となる水道水とフィルター性能を確認します。
「実際にウォーターサーバーの水で何を確認すればよいか」を詳しく知りたい場合は、「ウォーターサーバーの水にPFASは含まれる?確認方法と選び方」を参考にしてください。
挙げた項目の中で、自分にとって優先度の高い条件から確認すると判断しやすくなります。
PFASが心配でもウォーターサーバーだけで判断しない
ここでは、PFASが心配でもウォーターサーバーだけで判断しないについて簡単に確認します。
PFASへのばく露を考える際は、ウォーターサーバーを契約するかどうかだけで問題全体が決まるわけではありません。利用している水や地域の情報を確認し、必要に応じて選択肢を比較しましょう。
水道水が気になる場合は地域の水質検査結果を確認する
ここでは、水道水が気になる場合は地域の水質検査結果を確認するについて簡単に確認します。
水道水のPFOS・PFOAについて知りたい場合は、自治体や水道事業者が公開する水質検査結果を確認します。地域によって水源や検査結果が異なるため、全国的なニュースだけで自宅の水道水の状態を判断しないことが大切です。
ウォーターサーバーと水道水を料金・味・安全性など複数の観点で比較したい場合は、「ウォーターサーバーと水道水の違い|料金・味・安全性を比較」で確認できます。
ウォーターサーバーを選ぶならPFAS以外の条件も見る
ここでは、ウォーターサーバーを選ぶならPFAS以外の条件も見るについて簡単に確認します。
- ここでは、ウォーターサーバーを選ぶならPFAS以外の条件も見るについて簡単に確認します
- PFASに関する情報は水選びの一つの判断材料ですが、ウォーターサーバーは毎日使う機器です
- ボトル交換
- フィルター交換
- 本体サイズ
- 契約期間なども確認する必要があります
- 浄水型の仕組みから確認したい場合は「浄水型ウォーターサーバーとは
上記の項目を確認しながら、自分の利用条件に合うかを判断すると整理しやすくなります。
PFASに関する情報は水選びの一つの判断材料ですが、ウォーターサーバーは毎日使う機器です。料金、給水方法、ボトル交換、フィルター交換、本体サイズ、契約期間なども確認する必要があります。
浄水型の仕組みから確認したい場合は「浄水型ウォーターサーバーとは?宅配水との違い・メリット・選び方」、天然水を検討する場合は「天然水ウォーターサーバーの選び方|採水地・硬度・料金を確認」を参考にしてください。
PFASは正しい情報源と数値を確認して判断しよう
ここでは、PFASは正しい情報源と数値を確認して判断しようについて簡単に確認します。
PFASとは、多数の有機フッ素化合物をまとめた総称です。その中でもPFOS・PFOAは、環境中で分解されにくい性質などから、日本でも飲み水に関する基準や健康影響評価の対象となっています。
健康影響については研究が続いており、食品安全委員会はPFOS・PFOAについてそれぞれ20ng/kg体重/日のTDIを設定しています。一方、ヒトの疫学研究で報告されているさまざまな影響については、現時点で指標値を算出するには情報が十分でないものもあります。
ウォーターサーバーを検討するときは、PFASという言葉だけで不安になったり、「天然水なら安全」「RO水なら完全に除去できる」と決めつけたりせず、具体的なPFOS・PFOAの検査情報やフィルター性能を確認しましょう。
ウォーターサーバーごとのPFAS確認方法を詳しく知りたい場合は「ウォーターサーバーの水にPFASは含まれる?確認方法と選び方」、除去方法を知りたい場合は「PFASを除去できる浄水方法|フィルター・RO膜の違いを解説」へ進むと、検索目的に沿って確認できます。
※PFASに関する科学的評価や水質基準は更新される可能性があります。最新情報は食品安全委員会、環境省などの公的機関、および利用する水道事業者・ウォーターサーバーメーカーの公式情報を確認してください。